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電撃少女はヒロインになりたくない

第22章 ヒーローインターン


*緑谷side



それから飯田くんは、リョウちゃんに、事件の全容をすべて話した。


飯田くんのお兄さんがステインに襲撃されたこと、
僕たちがステインと戦ったこと、
ステインの個性や戦い方のこと、
警察の計らいで、ステイン戦は事実上隠蔽する方針になったこと。



飯田くんが話している間、リョウちゃんは、彼女の象徴である笑顔を一度も見せずに、頷きながら、静かに聞いていた。



「──というわけで、僕の腕には後遺症が残ってしまったのだが、これは戒めとして残していこうと決めたんだ。
緑谷くんと轟くん以外には言わないつもりだったが、せっかくだから、橘くんも巻き込ませてもらったよ。
僕の、成長の証人になってくれるかい。」



飯田くんが弱々しく笑って見せると、リョウちゃんは少しの間、カメラに顔を映すのをやめた。
表情は見えないけれど、代わりに、鼻をすする音が聞こえた。

察しがついた僕と轟くんは、顔を見合わせて微笑む。

いつも元気で明るくて堂々としているリョウちゃんだけれど、彼女が本当は根っからの負けず嫌いで、照れ屋で、クラスメイトの前では泣き顔なんて絶対に見せたがらないということを、僕たちはよく知っている。



『もちろんだよ!巻き込んでくれて、ありがとう。』



次にカメラに映ったリョウちゃんは、僕たちがよく見慣れた、いつもの太陽のような笑顔だった。

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