第22章 ヒーローインターン
*緑谷side
「あ、もしもー」
『おっっっそーーーーーい!!!!!!!』
「ひっ」
電話が繋がった瞬間、画面にはリョウちゃんのドアップが映し出される。
凄まじい勢いで、僕の声はかき消された。
『連絡が!遅い!!
どんだけ心配したと思ってんの!!!!!』
「ごっ、ごめん、リョウちゃん....」
『謝罪は不要!説明が先!!』
「は、はいっ!」
『何があったの?その背景と格好....病院?怪我してるの??
3人揃って何したの??』
「う、うん...ちょっと、順を追って話すと長くなるんだけど...」
「よお、元気か?」
リョウちゃんに詰められて焦る僕とは対照的に、轟くんは呑気にあいさつをする。
『私は、そりゃあ元気だけど...!』
電話がつながった瞬間は、勢いに気を取られて気付かなかったけれど、よくよく見ると、リョウちゃんの大きな目が少し潤んでいる。
『3人とも、ボロボロじゃない....っ!
デクくんから位置情報だけ送られてきたときからずっと悪い予感がしてたけど、まさか的中しちゃうなんて...ほんと、心臓に悪すぎだよ....』
彼女は、華奢な肩を揺らし、俯いた。
「....ごめんね、リョウちゃん。麗日さんにも聞いたけど、心配していろいろ動いてくれてたみたいだね。ありがとう。」
とりあえずお礼を言ったものの...
どこまで話すべきなんだろうか。
ついさっき、警察の人達に口止めをされたところだし、ことの全容を話すとなると、飯田くんのデリケートな話にも言及することになってしまう。
そんな僕の思惑を察したように、轟くんが口を開く。
「緑谷、飯田。リョウには、全部話しても良いんじゃないか。
警察にはああ言われたが──リョウとルイさんには、ひと通り情報を共有しておく価値はあると思う。
最も、飯田のこともあるし、判断は任せるが。」
「いや、轟くんに賛成だ。橘くんは、信頼に足る人間だからね。」
「飯田くんが気にしないなら、僕も賛成だよ。」
「それじゃあ──橘くん。
心配させてしまったお詫びも兼ねて、僕たちが直面した出来事について、説明させてもらうよ。」