第21章 オリジン
*緑谷side
「...あれからもう、随分と月日が経ったな。橘君──ミステレも、随分久しぶりに会話をしたが、すっかり顔色が元気そうで安心したよ。」
『おかげさまで!オールマイトは、パパともママとも仲良くしてくれてたんだよね。』
「ああ。学生の頃に出会って以来、なんとなく意気投合してね。
若い頃はよく、理想のヒーロー像について夜な夜な語り明かしたものだよ。
そういえば、ミステレが橘君のお母さんに長い間片思いをしていたんだけど、告白の際の後押しもしたくらいだ。」
『あははっ、じゃあ、ある意味私の命の恩人だね!』
「そうとも言えるな。
ミステレの奥さんはね...美人で、賢くて、自由で、無邪気で──素敵な女性だった。」
オールマイトは、窓の外を眺め、ゆっくりと言葉を紡いでく。
「....橘少女が生まれたばかりの時、僕も抱っこさせてもらったんだ。あれが、つい最近のことのように感じるな。なんて、こんなことを言うと、年寄りみたいだけれど。
橘少女が入学してきたときは、あまりにも若い頃のお母さんにそっくりで、驚いてしまったよ。」
『...そっか』
リョウちゃんは、嬉しそうな、それでいて少し寂しそうな笑顔を浮かべた。