第21章 オリジン
*緑谷side
「ご、ごめんねリョウちゃん、余計なこと言っちゃって...」
『はは、全然良いよ。うちの家庭がちょっとバグってるだけだから。』
「.....あの、さ。ここで聞いていいことなのかわからないんだけど...」
『私のママのこと、かな?』
「...!」
頭の中を見透かされたような気がして、僕は思わず固まる。
そうだ...リョウちゃんは、ふわふわしているように見えて、実は洞察力が非常に高い。
『図星って顔してるね。
そりゃあ、あれだけプロヒーローとしてのパパのことを知ってるんだから、一緒にヒーロー活動していたママのことも知らないわけないよね。』
「.....」
『別に、もう昔のことだから気を遣わなくていいよ。
ご存知の通り、私のママはヒーロー活動中に殉職してるの。』
「....!」
体の芯がスッと冷えた気がした。
昔、ネットのニュース記事で見かけた、海外のプロヒーローの訃報。
まさか、こんなにも近くに、その悲劇の当事者が存在していたなんて。