第21章 オリジン
*緑谷side
『私ね、今度のヒーローインターンで、パパの事務所に行くんだ』
「海外の!?すごい、かっこいいなぁ...!」
『最初はパパがなかなか受け入れてくれなかったんだけど、オールマイトに協力してもらって、なんとかね』
「はっはっは!私は何もしとらんよ、橘少女の成績や、努力している様子を伝えただけだ。」
<可愛い娘だけでなく、古い友人のオールマイトに言われたんじゃあ、僕も断わるわけにはいかないからねぇ。そうやって戦略で勝ちに来るとこ、ルイに似たんだろうな。>
『あんなシスコンと一緒にしないで』
相変わらず、お兄さんの話題になったときだけ、露骨にムスッとするなぁ...
普段よりも子供っぽいというか、色々とずば抜けているリョウちゃんが一瞬だけ"普通の高校生"に見えるから、なんだかレアで面白い。
<出久くん...だったかな。>
「は、はいっ!」
<いつもリョウと仲良くしてくれてありがとう。親元を離れて心配していたけど、学校のみんなのおかげで毎日楽しんでいるようでね。これからも、ぜひ支えてあげてほしい。>
「支えるだなんて、とんでもない!
こちらこそ、いつも色々なことを教えてもらっています。リョウちゃんはいつもポジティブで、そこにいるだけで場が明るくなるような、太陽みたいな存在です。」
『デクくん...っ!』
「入学当初から目立っていたけど、体育祭の後は更にファンが増えて、しょっちゅうラブレターをもらっています」
<ちょっとその話詳しく聞かせてもらおうか>
『デクくんストップ!だいぶまともではあるけど、あのシスコンを生み出した親ってことを忘れないで!!』
よかれと思ってありのままのことを報告したが、リョウちゃんに口を押さえられてしまった。
『そういうわけだから、パパ、来週からよろしくね!』
<ああ、道中気をつけるんだよ。出久くんが言っていたことの詳細は、こちらに来てからゆっくり聞かせてもらおう。>
リョウちゃんは一瞬だけ僕を睨みつけたが、すぐに表情を切り替えて笑顔で手を振りながらテレビ電話を切った。