第20章 イヤホン
*主人公side
『──って感じで、このチャプターはこの構文を使えば解けると思うよ。』
「橘すっげー!めっちゃ説明わかりやすいじゃん!!」
「しかも、英語の発音めっちゃ良いね。やっぱ海外住んでただけあるわ。」
『えへへ、ありがとう。お役にたてたなら嬉しいよ。
それじゃあ、一旦練習問題説いてみよっか。終わったら解説するね。
私はあっちの席で自分の勉強をしてるから、何かあったら声かけて。』
「「「はーい!」」」
私は、みんなが座るボックス席を離れ、窓際のカウンター席に移動した。
イヤホンを耳につけ、窓の外を眺めて一息つく。
数日後の小テストの勉強をするつもりだったけど、一人きりになると、ついインターンのことを考えてしまう。
体育祭で上位入賞したおかげで、多くのヒーロー事務所からオファーをもらったものの、選択肢があまりにも多いと悩んでしまうのが人の性というもの。
初めて校外でヒーロー活動をするわけだし、名前を売る機会と考えると、オファーを出してくれている日本のヒーロー事務所の中から有名どころを選ぶべきなんだろう。
気がかりなのは──私の本命は、その中にはないということ。
「おい。勉強すんじゃねぇのかよ、アホ面」