第19章 独占欲
*轟side
『それじゃあ...ありがとね、わざわざ家の前までおくってくれて。』
「ああ。お前、体育祭の後、知らないやつに声かけられること増えただろ。
無防備すぎて、一人で歩かせんのも心許ねぇからな。」
リョウは、何それ、といたずらっ子のように笑う。
人の気も知らねぇで、呑気なもんだ。
「...なぁ」
『ん?』
「さっきの話」
『どの話?』
「学校で、他のクラスのやつに話しかけられてたときの」
『ああ。付き合ってんのか、って感じで質問されたやつね。
急に真顔で変なこと言い出すからあの時は動揺しちゃったけど、もう気にしてないよ。』
「もし俺が、お前の恋人だ、って答えてたら....嫌か?」
『....っ!?』
リョウの華奢な肩が、動揺で揺れる。
大きな潤んだ瞳には、困惑の色が漂っている。
その姿は、戦闘訓練中の猛々しい様子からはまるで想像できない──ごく普通の、顔を赤らめて恥ずかしがる女の子だ。
『なにそれ...っ、急に、わけわかんないよ』
「嫌だったら、もうああいうことは言わねぇよ」
『...その聞き方、ずるくない?』
「どうなんだ?」
『....』
「....」
『私は、』
「あれれ〜?こんなとこで何してるのかな〜〜?」
リョウが何かを言いかけたまさにその瞬間。
地獄のようなタイミングで、兄のルイさんが現れた。