第19章 独占欲
*主人公side
『...ねぇ』
「ん」
『さっきのあれ、何?』
「さっきの?」
『学校で、男の子たちに話しかけれてるときに助けてくれたじゃん』
「ああ」
『あの時、珍しいこと、言ってたじゃん』
「....俺、なんか変なこと言ったか?」
──ああ、またこれだ。
この天然は、いつもとぼけた顔をして人の心をかき乱してくる。
きっと、私を助けてくれたあの時も、ただあの男子生徒たちをかわすためにだけに、都合の良さそうな言葉を並べたのだろう。
わかっていながらも、少し意識してしまった自分が恥ずかしい。
これじゃあまるで、手の上で転がされているみたいじゃないか。
露骨に不機嫌な顔で睨みつけてみるも、彼は不思議そうに小首をかしげるだけだった。