第19章 独占欲
*主人公side
デクくんたちと別れ、最寄り駅についた私たちは、ゆっくりと世間話をしながら帰路についた。
「お前、兄さんがいたんだな。」
『そうなの。紹介が遅くなっちゃってごめんね。
黙ってたつもりはなかったんだけど...ちょっと、いろいろと説明が面倒なタイプで。』
「....それは、さっきの自己紹介を見て察した。
兄さん、ずっと海外にいたんだってな。これからは一緒に住むのか?」
『んーん。基本的には、国の研究機関の居住スペースに滞在するんだってさ。
あれでも、世界的に有名な研究者だから、どこの国に行っても要人扱いみたい。
...一応、時々私の部屋にも帰ってくるつもりらしいけど。』
「そうか。よかったな。」
彼はいつも通り、澄んだオッドアイでどこか遠くを見据えている。
ちらっと見上げた綺麗な横顔は無表情で、何を考えているのか全くわからない。