第19章 独占欲
*主人公side
男子生徒たちと入れ替わるように、デクくん達が近付いてくるのが視界に入り、私は咄嗟に焦凍から離れる。
「轟くん、橘くん!なにか揉め事か?」
「いや、たいしたことじゃねぇよ」
「そうか!なら良かった!
して、橘くん...顔が赤いが、どうかしたか?」
『えっ、なんでもないよ!赤いかな?夕日のせいだね、きっと!!』
「そうか...うん、そうだな!
今日は1日晴天だったものな!」
ああ、飯田くんが極端に鈍くてよかった。
私は、突然上がってしまった体温を下げるために、手で顔を仰ぐ。
「...大丈夫か?」
焦凍が片手を私の頭にのせて、顔を覗き込んできた。
綺麗なオッドアイに、自分の姿が反射しているのがわかるくらいの近距離。
わざとやってるとしか思えないのだけど、
なんの悪意もなく、自然にしているからこそ、より一層タチが悪い。
『...大丈夫だよ、帰ろ』
「....?」
私は、動揺しているのが伝わらないように、ぶっきらぼうに焦凍の手を払いのけた。
焦凍は不思議そうに首を傾げたが、何も言わずに私の隣を歩く。
──ああ、こんな時もやっぱり私は可愛くない。
照れ隠しでつい強がって、
自分のペースを取り戻すのに必死になってしまう。
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「あの2人、はよ付き合ったらええのに」
「麗日さん、なんか嬉しそうだね」
「えへへ...あの2人のこと見てるの、なんか好きなんよねぇ。
そういうデクくんこそ。」
「なんかさ、こうやって見ると、リョウちゃんも普通の女の子なんだなぁって。成績良くて個性も強くて、何でも余裕でこなしてるイメージだから。」
「....デクくんって、ピュアそうに見えて時々闇っぽいとこ出てくるよね」
「あっ、いや、そんなつもりじゃ,..!」
『デクくん、お茶子、どしたの?先帰っちゃうよ〜!』
「「ごめん、今行く〜!」」