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電撃少女はヒロインになりたくない

第19章 独占欲


*主人公side



「橘さんって、彼氏とかいるの?」



放課後。

いつも通り焦凍と帰ろうと思ったのだけど、学校内で男の子と話しているところをお兄ちゃんに見られたら面倒なので、少し早めに出て校門で待していた矢先に、他のクラスの知らない男子生徒たちに声をかけられた。

高校生という年頃のせいか、学校で話しかけられるときは、この手の質問が多い。
好意を向けられること自体はありがたいけど、いざ告白をされてしまうと、断るしかないのでバツが悪い。
とはいえ私が気疲れする筋合いもないし、いっそのこと、彼氏がいるフリでもしようかな、なんて思ってしまう自分がいる。




「リョウ」



男子学生達を適当にあしらっていると、突然、焦凍が間に割って入ってきた。

有無を言わせぬ威圧感を放ちながら、
彼は、鋭い視線を男子生徒達に視線を向ける。

空気読めないどころじゃないよ、肝座りすぎでしょ...!




「こいつ...体育祭で準優勝だったA組のヤツか」


「ああ、エンデヴァーの子供の...」


「俺らリョウちゃんと話してたんだけどさ、なんか用?
わざわざ今割り込んでこなくても、クラスメイトなんだからいつでも話せるじゃん。」



案の定、彼らは不満を露わにするが、焦凍の表情は変わらない。



「それとも何、
君...リョウちゃんの彼氏なの?」



男子生徒のうち1人が、挑発するように焦凍に凄んだ。


険悪な雰囲気。
騒ぎになる前に場をおさめなきゃ、と口を開こうとした瞬間、焦凍の片腕で力強く抱き寄せられた。
鍛え上げられた胸板と腕に包まれた私は、突然の出来事に頭の中が真っ白になってしまい、喉元まで出かけた言葉を飲み込んだ。



「そうだ、…って言ったら、どうする?」


『!?』



予想外の発言。
待って待って、この子は平然とした顔で何を言っているの...?



『ちょっと...っ!』


「なんだ、彼氏いたのか」


「んだよ、強個性のイケメンってチートすぎんだろ。勝ち目ねぇよ。」


「やっぱりA組のやつは気にくわねぇ」


「彼氏いても、俺はずっとファンだからね!橘さん!」


『いやっ、違っ、あの...!』



焦凍に威圧された男子生徒たちは、私の弁明を聞こうともせず、そそくさと帰っていった。
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