第19章 独占欲
*緑谷side
放課後。
授業を終えた僕は、轟くん・麗日さん・飯田くんと一緒に駅に向かっていた。
「にしても、リョウちゃんのお兄さん、かっこよかったなぁ。
遠目に見たら物間くんかと思ったけど、近くで見たら全然似てなかったわ。」
「経歴も個性もオーラも凄かったな...!
オールマイトに次いであんな有名人が雄英に来るなんて、贅沢すぎだよ...!」
「性格は風変わりだが、優秀そうな方だったな!
橘くんのお兄さんらしいが...なんだか様子が少し変じゃなったか?どう思う?轟くん」
「...何で俺に聞くんだ?」
「いつも橘くんを凝視しているじゃないか」
「なっ...」
「今朝の様子を見て、まさかのリョウちゃんと物間くんが付き合ってるかと思ったけど、勘違いでよかったね!轟くん、明らかに不機嫌そうやったから。」
麗日さん、笑顔のままぶっこんでくるなぁ...!
可愛いけど、見てるこっちがヒヤヒヤする...!
「まぁ、兄妹であの距離感は異常な気もしたけど...海外だと普通なのかな....」
「あ、噂をすれば」
麗日さんの視線の先を辿ると、他のクラスの男子生徒数名に囲まれているリョウちゃんがいた。
「リョウちゃん、もともと目立ってたけど、体育祭の後は更にファンが増えたなぁ」
「中学の時から遠目に見てたけど、実力あるのに誰に対してもフラットだし、さすがの人気だね!
...あれ、轟くん、どうしたの?」
呑気に様子を傍観していた僕たちをその場に残し、
轟くんは早足でリョウちゃんに向かっていった。
「麗日くん、顔がニヤけているぞ」
「ふふ...いや、青春やなぁと思って」
麗日さんの気持ちは、僕にもなんとなくわかる。
いつもクールに見える轟くんだけど、リョウちゃんのことになると、余裕がなくなるというか、感情のままに行動しているように見える。
──最も、当の本人は、
自分の気持ちには気付いていなさそうだけれど。