第18章 特別講師
*緑谷side
教室へ向かう道中。
「あの、ルイさん」
「なに?」
「1つだけ、質問しても良いですか?」
「内容次第。言ってみて」
笑顔だけど、有無を言わせぬ不思議な雰囲気。
この圧の強さ、さすがリョウちゃんのお兄さんって感じだ...!
「そんなに強い個性を持っているのに、どうしてヒーローにならないんですか?
あなたなら、トップヒーローにだってなれるはずなのに...」
「変なこと聞くねぇ。
個性が強力だったら、ヒーローにならないといけないの?」
「いっ、いや、そういうつもりじゃ...!
ただ、僕は才能がないのに誰よりもヒーローへの憧れが強かったので、才能があるのにヒーローを目指していないのってなんでなんだろうって、純粋に不思議に思って。」
「好奇心旺盛だねぇ。別に、理由はいたってシンプルだよ。
僕、ヒーロー嫌いなんだよねぇ。」
「...!?」
思いもよらぬ回答を聞いて、ついルイさんの顔を見上げしまった。
彼の表情からは、感情が読み取れない。
「嫌いだから、憧れない。
本当はリョウにも、ヒーローなんか目指してほしくないんだよねぇ。
雄英高校に進学するって聞いた時は心の底から反対しちゃったよ。
推薦入試の願書を何度破いたことやら。あははっ。」
いやいや、笑顔で何とんでもないこと言ってんだこの人....!
リョウちゃんが不機嫌そうな理由が、うすうすわかってきた気がする...
「リョウ、昔は個性がしょぼかったし、本人もそれを自覚してたから、まさかヒーローなんて目指さないだろうと思ってたんだけど」
「えっ...」
国内トップの雄英高校に推薦で入ったリョウちゃんの個性が"しょぼかった"だって...?
生まれつき強個性の持ち主じゃないのか...?