第16章 女子会
*主人公side
「....えー、ところでみなさん」
持ち寄ったお菓子を一通り平らげたタイミングで、
芦戸ちゃんがわざとっぽく咳払いをした。
「なんか忘れてない?これ、女子会だよ?」
『...追加のお菓子、持ってこようか?』
「ちっがーう!
恋バナだよ!こ、い、ば、な!!!」
小首をかしげる私に向かって、芦戸ちゃんは勢い良く人差し指を指した。
「体育祭の反省とかいろんな奴らの個性の話ももちろん大事だけど、
ウチら華の女子校生だよ!?休みの日の女子会くらい恋バナしようよっ!!」
まくしたてる芦戸ちゃんに加え、
葉隠ちゃんとお茶子が賑やかに賛同した。
「じゃあ、まずは言い出しっぺのウチがクラスのみんなを代表して聞くね」
芦戸ちゃんは、意気揚々と右手を挙げて話し続ける。
恋バナ...
どうしよう、何のネタも持ち合わせていない。
昔からの悪い癖で、私は人から向けられる感情に鈍い。
良い感情にも、悪い感情にもだ。
とりあえず、ここは聞き役に徹して──
「橘」
──徹して、乗り切るつもりだったのだけど...
まさかの一発目にご指名をいただいてしまった。
「結局、どっちと付き合ってんの?」
『....はい?』
状況を飲み込めず口をあんぐりさせる私とは対照的に、
A組のみんなは示し合わせたようにニヤニヤしながら私を見つめる。
いつもはみんなの暴走を抑えるやおももですら、穏やかな笑顔を浮かべている。
なになに、何の話?
「どっちと付き合ってる」って?
私って、彼氏いるの...!?