第2章 邂逅
~鼎 Side~
「もう、この世にはいません」
そう聞いた瞬間私は後悔した。この子に何て辛いことを思い出させたのよ!と、自分で自分を叱った。
そっと、その子の顔を見ると、その子は表情筋ひとつ動いていなくて、まるで人形の様に無表情のまま私を見ていた。
『ご、ごめんね。辛いこと思い出させちゃって。』
「いえ、人の死は、たくさん見てきたので平気です。」
『そっか…。じ、じゃあ、あなたの両親はどこにいるのかな?名前を教えてくれたら、私が送り届けるよ。』
すると、その子は初めて表情を、感情を、あらわにして
「私の両親は、死にました。私の……目の前で。」
その顔は、とても辛そうで、苦しそうで、放って置けば消えてしまいそうで。私は、咄嗟にその子の手を握った。何処かに行ってしまわないように、消えてしまわ無いように。
そして、ギュっとその子を抱き締めて、優しく頭を撫でて、
『そっか。もういいよ。ありがとう。話してくれて。』
と言った。