第2章 邂逅
~鼎 Side~
「それは、ご命令ですか。」
光が灯らず、冷たい底冷えするような瞳で、
抑揚の無い、感情の無い声。
それは、オールマイトさんを困らせるには十分で
オ「う、う~ん、命令というか。確認というか…」
さすがに、助け船を出さないと
『お願い!ですよね。オールマイトさん』
私が、笑顔で言うと
オ「そ、そうなんだよ。お願いなんだ。答えてくれるかな?」
オールマイトさんが、そう言うとその子は首を傾げて
「お願いというものは、ご命令と違うのですか?」
と聞いてきた。オールマイトさんは
オ「うん。君の言う命令は君の意思がない。だから、私は君の意思で答えてほしいからお願いをしているんだ。」
オールマイトさんが、真っ直ぐにその子を見て話すと
「私に、人形に意思や感情は必要ありません。ですので、あなたのお願いには答えることができません。申し訳ありません。」
そう言うとその子は丁寧に頭を下げた。
今、この子自分のこと人形って
私が、少し悲しんでいると
オ「そうか…。すまない。無理を言ったようで。」
オールマイトさんも、私と同じように悲しそうにその子を見た。
笑顔で人々を救う。そう言っていたオールマイトさんがその時だけ、その一瞬だけ悲しそうな顔をしていた。
だけど、すぐにいつもの笑顔に戻り、
オ「では、私はこれで失礼しよう!後のことは、任せたよ。カナエくん!」
『は、はい!』
オ「それでは、さらばだ!」
そう言うとオールマイトさんは颯爽と去っていった。
残された私がする事、それは、
『私とお話ししない?』
この独りぼっちの子と会話をする事だ。