第5章 悲劇
~オールマイト Side~
私は扉を開けた。
『葵くん。』
「オールマイト?」
そう返事した彼女の目は虚ろで、表情も無くなって私と鼎くんが最初に出会った頃の様だった。
私は葵くんの隣に腰を下ろした。
『葵くんが、無事でよかった。それから謝らせてくれ。
すまなかった、あの時、私がもう少し速く来ていれば鼎くんを助けられていたかもしれないのに。』
「謝るのは、こっちの方だよ。あの時個性を使って鼎姉を治していれば
鼎姉は今頃生きていたかもしれないのに。」
目の前にいる彼女はとても儚げで消えてしまいそうだった。
私は、そんな彼女に手紙と箱を渡した。
『これは、鼎くんの家にあった物だ。』