第13章 職場体験
~轟 Side~
緑谷達と一緒に葵を待っていたら、息を切らし走りながら戻ってきた。
「……ハッ、ハッ、ハァ……、ご、ごめん。待たせて。」
緑「ううん。全然待ってないよ。……けど、何で息が切れてるの?
もっ、もしかしてステインが動き出したとか……?」
「違う違う、そうじゃない。ほ、ほら速く皆の元に戻って報告しようと思って……、ア、アハハ……」
葵は焦った様に答えた。
“何でそんなに苦しそうに笑ってるんだよ。”
そう聞きたいのを飲み込んで敢えて気付いていないように葵に話し掛ける。
『じゃあ、俺が奴を運ぶ。』
俺が言うと葵は止めてきた。
「は、はぁ?駄目に決まってんでしょ、焦凍、腕、怪我してるじゃん。ウチが運ぶ。」
『だったら、葵だって怪我してるだろ。』
「ウチは良いの。こんくらい怪我の内に入らないし。」
『俺もこれくらい怪我の内に入らない。』
「ん、んああぁぁ、ラチ空かない!」
葵は、片手で頭を掻く。
「…………分かった。今回はウチが折れるから。
ただ!無理は絶対にしないこと!それは約束して。」
人差し指を俺に指しながらそう言った。
『あぁ。』
俺がそう言うと、葵はさっきとは違い安心したように笑った。