第13章 職場体験
ス「まさか、お前がヒーローを目指しているなんてな…。」
『意外……でしたか?』
ス「あぁ、お前と一緒に過ごしている時はヒーローなど興味がないと思っていたからな。」
『あの時は“思わなかった”ではなく、“思いもしなかった”という方が正しいですね。
……けど、ある人に会ったお陰で今の私があります。』
ス「……、お前なら本物のヒーローになれるかもしれないな。」
『“なれる”じゃなくて“なって”みせますよ。それがある人との約束ですから。
……赤黒様が行っていた粛清という行為は間違っています。けど、ヒーローとして本来あるべき姿をしていない人達がいるのも事実です。
だからと言って、“殺す”という選択をするのではなく、別の“生かす”選択を見つけるべきだと思います。
だって、人間には“私”には無い“変わる”という力があるのですから。』
ウチはステインを紐で縛りながら言った。ステインはウチに聞こえるか聞こえないかの声で“そうか”と呟く。
ス「なら、1つだけ忠告をしておいてやる。これはヒーローにじゃない、椿 葵、お前自身にだ。」