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いつだってあなたのことが

第7章 眠れる君に落とした囁きは


※宗次郎と同じくヒロインは戦闘員の設定です。普段宗次郎とは仲良し。
※ヒロイン視点のお話です。



「…蛍さん、好きです。」

「……っ!?」


突然の囁きにびっくりして、目を開けてしまった。


「……えっ?蛍さん…?」

「…あ…っ…」


…気まずい。気まずい。思わず目を見開いてしまって、宗次郎と視線がぶつかり合ってしまった。

宗次郎の表情が俄に固まって、貼り付いた笑顔を浮かべたまま彼の心許ない声が耳に届く。


自分の部屋に運ばれ寝かされている私。そして、枕元で正座してこちらを見下ろしていた宗次郎。
…私はというと、実は気を失っていて。
それで寝かされていたのだけど、宗次郎の突然の甘やかな声や言葉が脳に届いてしまい、沈んでいた意識は引き起こされて、驚くままに目を見開いてしまった……



──戦闘で勝ちはしたものの、私は傷を負ってしまい。
気付いた時にはアジトの自室で寝かされていて。多分、一緒に任務に出ていた張さんが連れ帰ってくれたんだと思う。

今に至るまでの記憶は殆どないのだけど、朧気に覚えている場面が一つだけあって。
その記憶にあるのは……アジトに帰還した時、珍しく慌てていた宗次郎の姿や声だ。印象的だったあまり脳裏に焼き付いてしまったほどで。

“あ、心配かけてしまっている、ごめんなさい”と、そんな想いを抱いたことは覚えている。
恐らくその直後にすとん、と意識を手放してしまったのだと思う。
思うに、その後怪我の手当ての手筈を進めてくれて、そして寝かせてくれたのだと思う…



けれどけれど。
まさか宗次郎の告白染みた言葉を……それも自分に向けられたものを聞いてしまうとは…。


「…まさか蛍さん起きてたとは思わなくて…」


肌を俄に火照らせていきながら、意識して落ち着かせたような張り詰めた口調で呟く宗次郎。


「…ううん、さっきまで意識はなくて…。本当に、ついさっきまで。宗次郎の声が聞こえて……起きちゃった…」

「…そっか、そうですか…」


かああ、と頬を一層染め上げる宗次郎。


「…ごめんなさい。それでびっくりして思わず目を開けちゃった…」
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