• テキストサイズ

いつだってあなたのことが

第6章 Anthurium




「…?なんですか。」

「今だけいい…?」


反射的に蛍さんの方に向き直ると……腕に少しの重みと、あったかい感触。


「…えっ。」

「…変ね。ちょっとだけこうしたくなっちゃったの…」


髪に隠れて表情が伺えないものの、覗いた瞳は恥ずかしげに潤んでいて。──かああ、と頬が熱くなる。

蛍さんに抱きつかれていた。


「っ、なんですか、それ…」

「…お返し?」

「……」

「宗次郎のが遷ったのかな…?大人でいようと思ってたけど…積極的に甘えてくれる宗次郎が…たまらなくって…」


熱のこもった眼で見上げられる。


「たまには、私からも。」

「…あの、えっと…」

「…宗次郎、困ってる?」

「……えっと、その…どうすればいいのか……」


まさか、蛍さんからだなんて…

思い掛けず瞳を逸らすも…紅潮した顔は隠せそうにもない。向き直って正直に告げると…


「嬉しくて、困ってます…」

「…もう。離れられなくなっちゃうじゃない…」


悪戯っぽく微笑まれ…

たまらなくて、もう一方の手を蛍さんの背に…そして流れるように、蛍さんを胸の中に抱き止めていた。





Anthurium

(アンスリウム 恋にもだえる心)
/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp