第37章 あっぷる
「さて充分に目を見たからまたひと眠りしましょうか」
ゆっくり離れて寝かす。
「昔の話だ」
「昔?」
「私が小さい時に誰かと見た景色が離れない」
「どんな景色でしたか?」
「····男女がお互いに白を纏って喜びを感じていた」
「あー··それは結婚式ですね!お互いに"愛"を誓い合うんです。私は素敵だと思います」
「私には分からない」
(そりゃ··澁澤さんには難しいだろうな)
満たされない心
まるで
(似てるな~~。)
「でも今は。天音の瞳に興味はあるよ」
びしっ
「瞳かーい」
「···ふっ」
あっ
笑った
じー
「·····」
「なっ···なんだね」
「澁澤さんの笑った顔初めて見ました。何時も人形みたいな顔していたから」
「そりゃ···人間···だから(人間··?私は··)」