第22章 花嫁
ふわふわ····。
「良くありません」
「こんなに柔らかいのに」
「伸びてしまいまふ!」
みょーん
「そうだね。そろそろ行かないと、だけど手だけは繋がせてね。迷子になったら大変だから」
差し出された手は
真っ黒に塗られたマニキュアに長い爪
(そして白い···。本当に吸血鬼みたい)
ゆっくり手を乗せる
···キュッ。
(小さい)
私の手より小さい
吸血鬼の主と人間は外を歩く。
やはり目立つのか、
声を掛けられる。
「今日は外に出てるんですね」
「まぁね」
「何処かにお買い物?」
「そんな所だよ」
ただその淡々とした会話をマント越しから聞く私は
(····私より綺麗な女性(角や羽が見えてる)ばかり)
ちょっとだけ
(悔しい。な···)