3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第1章 3年滅組
出席番号2番、宇髄天元。
実は彼が一番最初に滅組行きが決まった生徒である。誰のなんの証言も取らず、秒で滅組決定の判を押されたのだとか。それもそのはず。宇髄くんは言うなれば非模範的生徒で、誰もが認める不良だからだ。派手好きならではの校則違反はもちろん、遅刻早退欠席は当たり前。その上、喧嘩上等の精神なのだから、それだけで滅組に入れられる要素は十二分に持っていたという訳だ。
そんな宇髄くんだが、とにかくモテる。あまり詳しくは知らないが、他校にも宇髄くんのファンクラブが存在していて、去年のバレンタインには複数校の女子生徒が宇髄くんの為に校門の外まで長い列を成していたのだとか。一方では番長の顔も持っていて、巷で彼を知らない者はいないという。とにかく恐ろしくカリスマ性のある生徒なのだ。
「………おい宇髄、なんで今日は欠席じゃない?」
隣の席の伊黒くんが不服そうに眉を顰める。
「そりゃお前、学生なんだから学校に来るのが普通だろ」
「ふん、去年まで欠席ばかりだった奴がなにをほざく。そもそも3年になってからやたらと出席率がいいのは何故だ?」
伊黒くんが不服そうなのはきっと、宇髄くんが欠席なら自分がその席に移動して甘露寺さんの隣になる算段を付けていたのに、彼の出席率が上がってそれが一向に叶わないからだろう。
確かに遅刻はするものの、今のところ宇髄くんの出席率は悪くない。あれほど他の教師から聞かされていた欠席がほとんどないので逆に驚いてるくらいだ。
どうしてだろう。
「そりゃまあ………先生がいいからなんじゃねぇの?」
頬杖をついてるその横顔がフッと笑って意味あり気に視線を寄越してくる。
「な、せんせ?」
まるで女を誘うようなその流し目にはドキッとする。
………う、不覚。
だがしかし、いくら宇髄くんが男前でも生徒は生徒。問題児だらけの滅組を任されたからには教師の自分がしっかりしないと……!
はそう思って教科書を手に取る。
「む、無駄話はもうおしまい!じゃあ授業始めます……!」
赤くなった顔を隠すようにくるりと黒板へと向き合う。一度深呼吸をしてからチョークを取ると、一限の授業である古典の文法を書き始めた。