3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第1章 3年滅組
「煉獄くんはもう少し声を落としてね」
「……む?それはすまない!俺の席からは先生との距離が遠い故、声も大きく発さねば通らないと思った次第だ!明日からは善処しよう!」
「明日と言わず今から善処してください」
そう、彼は声が非常に大きいのである。彼自身、意識して声量を大にしているつもりはないのだろうだが、どうも語尾に向けて感嘆符が付く癖がある。それが時に大きな声を生み出す結果となり、日常生活で煩いと感じてしまう生徒が増えたという。加えてかっぴらかれた煉獄くんの目。何処を見ているのかわからない時がしばしばあるのだが、それが少数の生徒を怯えさせてしまったのだとか。そんな経緯があって、煉獄くんは進級時に教師から申し訳なさそうに滅組を提示されたのだという。
人柄がいい分、なんとも可哀想な話である。
「………うむ、俺としたことがそんなことも気付かずにすまなかった!学級委員長として不甲斐なし!穴があったら入りたい!」
「おォ掘ってやる。一生這い上がってこれねェ深さの穴をなァ」
「静かにしなさい不死川くん」
とまあこんな調子で、毎朝出席を取る度に同じ事を指摘される煉獄なのであった。
「おう、今日も来るの早ェな」
その時、教室の前の扉が開いた。宇髄くんだ。
スクール鞄を肩に担ぎながら登校した彼は、遅刻を悪びれる様子もなく教壇の前を通過して目の前の席に着く。
……………今日も来るの早ェな?
少なくとも遅刻した生徒が教師に言うべき言葉でないのは確かで、は出席簿を閉じながら呆れた顔で注意する。
「………あのね、私が早いんじゃなくてあなたが遅いの宇髄くん。何回遅刻すれば気が済むの?」
「おーおー、あんま怒ってっと可愛い顔が台無しになんぜ?」
机の上で頬杖をつく宇髄くんがにやにやしながら茶化してくる。非常に悔しいが、今日も相変わらずのイケメンだ。