3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第1章 3年滅組
「…………あれ、先生怒ってる?」
時透くんが首を傾げながら問う。
頑張って笑顔を張り付けているだが、実は教卓の裏で握りこぶしを震わせている。
教師だって楽じゃない。教師だって人間なのだ。
「いいえ?」
「……………怒ってるよね?」
「いいえ?」
「……………まあどっちでもいいや」
「………………」
頑張れ、私。
は精神力を強く保とうと心に決めた。
「はい、次は冨岡義勇くん」
「………………」
「冨岡くん?」
「…………ああ、来ている」
後列の窓際に座る彼は冨岡義勇くん。
冨岡くんはなんでもコミュニケーション能力が不足しているとか。時透くんは不必要にコミュニケーションを取らない派だが、冨岡くんはどうやってコミュニケーションを取ったらいいのかよくわからない派だ。
班やクラス等の複数単位で纏まる動きがとにかく苦手で、気が付くといつも一人で離れた所にポツンと佇んでいるという。あまり多くの言葉を語らないが故に、クラスメイトと衝突し、誤解されたことで亀裂が生じて滅組に送還されたのだとか。
あまり騒ぐことのない物静かな子である。
「冨岡くんも今日は日直だからね。胡蝶さんと協力してやってね」
「あれ?そうなんですかぁ?」
胡蝶さんが驚いたように声を上げて後ろを振り返る。後ろは冨岡くんの席だ。
「すみません、私としたことが全く気が付きませんでした。あ、冨岡さんはやらなくていいですからね?先生の頼みは私一人で引き受けますので」
「…………心外だ。俺の仕事を奪うな」
「いいんですよ~無理しなくて。先生は私を頼ってくれてるんですから」
「いいやは俺に頼んでいる」
また始まった。あそこはいつも突然訳のわからない静かな喧嘩が始まるのだ。
はやれやれと溜息を吐いて二人を呼んだ。
「胡蝶さん、冨岡くん。今日の日直はあなた達二人なんだから、協力して二人でやろうね」
「「御意」」
御意ってなんだ御意って。前世は侍か何かだったのだろうか。