3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第1章 3年滅組
不死川実弥。傷だらけの少年。いつも胸元を開けている。そして教師のに好意を持っている生徒だ。ただ、見た目に反して勉強は意外と出来る。成績も悪くないどころか上位、数学に関しては校内トップである。だが、他人をいきなり力で捩じ伏せようとする癖があり、生徒と折りが合わず滅組へ放り込まれた。
「ネクタイは?ちゃんと学校に持って来てるんでしょ?」
が呆れた顔で聞けば、ポケットに手を突っ込んでネクタイを机に放り出した。
「ネクタイはあっても締め方がわかんねェんだろうがァ」
「………………」
なにそれ。なにちょっと可愛いこと言ってんの。あ、ほら、甘露寺さんもキュンキュンしてる。
「なら後でやり方教えてあげるから。それでいい?」
「どうせ教えんなら他のことも教えろ。教師ならそれくらい容易いだろうがァ」
「もう黙ってなさい」
調子に乗る不死川を一瞥した後、は再び出席簿に視線を落とした。
「出席番号6番、時透無一郎くん」
「………………」
「時透くん」
「………………」
返事がない。顔を上げて時透くんの席を見ると、彼はきちんと座っていた。おまけにしっかりとこちらを見ている。
なんで返事しないの。
「時透くん」
「………………」
「時透くん!」
「…………え?」
「え?じゃないでしょ。返事は?」
「え、先生僕が席に座ってるの見えてますよね……?」
「もちろん。それが何か?」
「……じゃあ返事は要らないんじゃないかな。だって登校してるかの確認でしょ?見ればそこにいるのがすぐに分かるのに、わざわざ返事をさせるなんてすごく非効率的だと思うんだけど。まあ……別にどっちでもいいけど」
時透無一郎。
彼の言うことは基本間違っていない。冷静で合理的な判断が出来る賢い子だ。だがその反面、配慮に欠ける子でもある。今もそうなように、他人に対する物言いに遠慮や気遣いがなさすぎるのだ。それが原因で、時透くんのナイフに精神をグサグサ刺された教師や生徒の声が募りに募って滅組行きとなってしまった。でも、本人はあまり気にしていないようだ。