3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第4章 不穏な足音
天気は快晴。自宅が学校に近いはマンションからいつも歩いて登校している。出勤中の会社員や他校の制服を着た学生とすれ違いながら学校に向かう。
信号が青になる。横断歩道を渡ろうと一歩踏み出した時だった。
「先生っ!」
思わず足を引っ込める。街路樹の向こうから走って来たのは自分の学校の制服を着た子。どこか見覚えのある顔だと感じたはすぐに気付く。昨日の放課後、図書室の前にいた女子生徒だと。
「ど、どうしたの?」
「大変なんですっ、宇髄くんが……!」
膝に手をついて肩を大きく上下させる彼女。そのただならぬ雰囲気に胸がざわつく。
「宇髄くんがどうかしたの……?」
「それが昨日の夜から連絡がつかなくて……たぶん家にも帰ってないと思う……!」
点滅し始める青信号。人は駆け足で横断歩道を渡ってゆく。は彼女の肩にゆっくりと手を置いて詳しい説明を求める。
「落ち着いて。家に帰ってないってどういうこと……?」
「昨日の放課後、宇髄くんが言ってたんです……他校の奴らと会うって。その他校の奴らっていうのは巷でもかなりの不良集団で……宇髄くんはその拠点に一人で行ったんじゃないかと………」
喧嘩、だろうか。連絡がつかない。家にも帰ってない。他校の奴らに会うと言って行方がわからなくなったのなら、手掛かりはその拠点にしかないとも言える。
「先生どうしようっ……!」
考えてる暇はなかった。自分の生徒だ。危険な目に合ってる可能性が少しでもあるなら放ってはおけない。それが例え喧嘩が強いと言われる宇髄くんだとしても。
大事な滅組の生徒なんだから。
「その拠点の場所、わかる?」
赤に変わった信号機。学校へ向かう途中の横断歩道。どうやら今日はまだ渡れそうにない。