3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第4章 不穏な足音
翌日の朝、はとてつもなく迷っていた。
「…………ワンピース?いやいや教師なんだからやっぱり動きやすい服装?」
シングルベッドの上に並べられた二枚の服。一枚は白の膝上丈のワンピース。一枚は白のブラウスと黒のスキニーパンツ。
ああ、なんで朝からこんなに悩まなければならないんだろう。それもこれも全部宇髄くんのせいだ。はベッドに腰掛けて昨日の出来事を思い出す。
昨日の歴史の授業での小テスト中、宇髄くんに呼ばれた。珍しく手を動かしてるもんだから、てっきりテストを解いてるものだと思ってた。だけど行ってみると、明日はとびっきり可愛い服で来いよ。という文字を見せられた。なんなのあれは。彼氏か。
そもそも宇髄くんにはよくからかわれる。反応を見て楽しんでるんだろう。たぶん他の子にも同じような感じで。その中のきっと一人で。それなのに彼の視線にはいつもドキドキさせられて。気が付くと心拍数を乱されてる。
ああ、精神の鍛え方が足りないのかな。時透くんにもっと鍛えてもらわないとな、なんて考える始末。
ちらりと目をやってブラウスに手を伸ばす。
やっぱり教師らしい格好がいいよね。そう思うのにまた宇髄くんの言葉が頭を掠めて邪魔をする。
───や・く・そ・く な?
例えば、だけど。
とびっきりかどうかは置いといて。
いつもと違う服を着て行ったら、彼はなんて言うんだろう。
可愛い?
似合ってる?
また、抱くぞ?
それとも何も言われない?
「……………ああ、もうこんな時間!」
出勤時間が迫っている。もたもたしてられない。は悩みに悩んだ末、一枚の服を取って急いで着替え始めた。