3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第4章 不穏な足音
「ふああ……眠ィ」
欠伸を噛み殺してぼんやりとする歴史の授業。眠い。暇だ。4月から学校に来て授業に出るようになったが、もともと勉強は好きじゃねェ。特に席に着いて黙々と教科書の内容を追う授業は地味で堪らん。さっきからが黒板に年表を書いていってるが何のことやら。
あ、また欠伸でそ。
「先生、その年号なんだけどさ」
お、また時透の指摘が飛んでくるぞ。の手が黒板の真ん中で止まる。
「時透くん5秒待って!」
自分の書いた年表を見直す。間違いに気付いたのか、ササッと消して新しい年表を書き出した。くるりと時透に振り返ってどうだ!といわんばかりの表情を浮かべる。まあ要はどや顔だな。
「………合ってる」
「やった!」
ぷっ、やった!ってなんだよ。子供かよ。
素直に喜んで再び黒板に向かうに思わず笑っちまう。ほんっと、これで教師だってんだから世の中わかんねェ。
………いや、は最初から教師に向いてる奴だったか。
の背中を眺めながら宇髄は、1ヶ月前のことを思い出していた。
『えっと……今日からみんなの担任になるです。教師としてはまだまだ半人前ですが、一生懸命頑張るのでよろしくお願いします……!』
あれは新学期初日の出来事。新しく学校に来る奴が担任になると聞いて、俺は興味本位で学校に行った。現れたのはまだ若そうな女。教師には全然見えねェ。まあ学校にあんまし来ねー俺には関係のない話で。とりあえず担任の顔も把握したしサッサと帰るか。そう思って教室を早々に出ようとした時だった。
『あ、待って!宇髄くん、だよね?』
『……そうだけど?』
案の定呼び止められて、扉に手を掛けたまま顔だけ振り返る。
ああ、はいはい。どうせ席に着いて。授業に出なさい。そんな教師臭い台詞を吐くんだろうよ。そう思った。ま、今までの教師はみんなそうだったしな。それが普通だ。だがまあ、は少し違った。
『今日は来てくれてありがとう』
『………は?』
『……宇髄くんの話は他の先生から聞いててね?今日は来てくれないんじゃないかなって思ってたの。でも来てくれたでしょ?だから良かったなって思って……』