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3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃

第3章 昼休憩





それもそのはず。

今日も宇髄くんは遅刻をしたし、伊黒くんは休憩時間の度に勝手に席を動かそうとする。不死川くんは相変わらず胸元を閉めないし、冨岡くんは俺は嫌われてないと授業中ずっと蝴蝶さんに反論していた。ああ、そうだ。時透くんにはみんなの前で先生漢字が間違ってると指摘されて結構気まずかったんだっけ。


……………うん、上手くやってるとはとても言い難い。


そもそも教員免許を取って初めて赴任する高校で3年生のクラスを受け持つって異例なんじゃないかな。

3年生といえば進路が決まる大事な時期だ。そんな人生の岐路とも言える瞬間を新米教師が管理していいものなのかどうか。

この学校に来てまだ1ヶ月。学校や生徒に関することは事前に渡された資料で読んだり周囲の教師の情報を得て把握したけれど、自分が滅組の担任にされた理由だけはいまだによくわからなかった。


“ 滅組の担任になったんだって?新任なのに大変だね~問題児だらけだけど頑張って!”


赴任当初、他の教師に肩を叩かれながら言われた言葉だ。 

問題児だらけのクラスだから右も左もわからない新米に投げたのだろう。最初はそう思った。だけど滅組の担任に私を指名したのは産屋敷校長だと知って、その考えはすぐに消えて無くなった。

生徒ひとりひとりを我が子のように大事に思っている産屋敷校長先生。問題児だから、新任教師だからという単純な理由で放り任せるような人ではないとこの1ヶ月でよくわかったのだ。

だからきっと、私に任せてくれた意味が何かある。


「あの……産屋敷校長、」


ふわり。

箸箱を握り締めるの頭に優しい手が落とされる。


「いいかい。だから滅組を任せたんだ」

「え……?」


「君でないとだめなんだよ」


ゆっくりと見上げたその顔は、とても穏やかな笑みを浮かべていた。

どこまでも優しくて落ち着く声。どんなに疲れていてもどんなに憂鬱な時でも、それら全てが吹き飛んでしまう不思議な声。


私はこの期待に応えなければいけない。


「はい、頑張ります……!」


強い意思を声に灯して返すと、産屋敷校長は満足そうに目を細めながら頭から手を離し、校長室に入って行った。


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