3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第2章 3年鬼組
突然、大声がして驚く。何処から現れたのか、童磨くんが横から入って来た。どうやら今の叫び声は彼らしい。隣には狛治くんもいて、謝花さんの口元を隠すように腕を回して締め上げている。
「喋りすぎだお前」
狛治くんが睨む。苦しいのかバシバシと彼の腕を叩く謝花さん。
「あっははぁ!先生おはよう!今日もいい天気だねー?」
「………童磨くん、今日は雨だけど」
「んんー?」
白橡色の髪を揺らして窓の外を見る童磨くん。
ザアアア…………
雨音が廊下に響く。
しばらくして何事もなかったかのように振り返って笑う。
「恵みの雨ってやつさ☆」
よくわからない。この子はたまによくわからない。
「ほら狛治くん、謝花さんが苦しそうだからそろそろ離してあげて」
「いや大丈夫。こいつすぐ死なないし」
さらりとそう言ってぐぐ、と腕の力を込める狛治くん。
「こーら、そういう問題じゃないでしょ。女の子には手を出しちゃだめ。わかる?」
教科書を抱きしめるように持つにぐっと顔を近付けられて注意され、狛治はとたんに押し黙る。
「………………」
「狛治くん?」
「…………わかった」
頬を染めながらフイッと視線を逸らして、観念したようにバッと両手を上げた。
「………あんたっ、お兄ちゃんに言いつけてやるんだからっ!」
やっと解放された謝花さんが首を擦りながら抗議の声をあげる。
(………あー、先生くそ可愛い)
「ちょっと聞いてんの!?」
「まあまあ梅殿!俺達同じクラスメイトなんだから喧嘩はやめて仲良くしようぜ?」
「うっさいあんたは黙ってて!」
鬼組にはこの三人の他にも謝花さんの兄の妓夫太郎くんや継国巌勝くんという生徒が在籍している。問題児だらけで有名な滅組だけど、鬼組の生徒もなかなか個性的だな、なんてはいつも思う。
生徒それぞれに個性はあるものの、授業態度や出席率、そして成績は非常に優秀だとされる3年鬼組。
それもこれも担任の鬼舞辻先生の腕がいいからなんだろう。滅組に手を焼くにとっては羨ましい限りである。
「おや、みんなお揃いとは珍しい」
「!」
突然、音もなく三人の背後に現れた鬼舞辻先生。驚いたみんなの肩が同時にビクリと跳ねた。