3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第2章 3年鬼組
白のワイシャツに黒いネクタイ、そして黒のパンツというシンプルな格好の鬼舞辻先生。ミステリアスで独特な雰囲気を纏っている彼は、謝花さん以外の女子生徒からも密かに人気を集めている教師だ。
「先生、何かうちの生徒が失礼なことをしなかったかな?」
「い、いえいえ!みんなとってもいい子ですから」
「それは良かった」
鬼舞辻先生が左袖を捲って腕時計を確認する。
「さて、もう授業が始まる5分前なんだが…………なぜうちのクラスの生徒が廊下にいるんだろうか?本来なら着席して予習をしているはずだが?」
ギロリ。
一瞬だったが、鋭い眼光が三人に向けられた。
「!戻ります先生!」
一目散に走って戻る狛治くん。
「せ、先生っ!私も戻りますっ!」
頬を染めながらこれまた戻っていく謝花さん。
「俺も戻らなくちゃ!じゃあ先生またね~!」
童磨くんだけはウィンクをしてスキップをするように帰っていった。
「おやおや………どうやら私の見間違いだったようだ。それでは先生、私も失礼するよ」
「あ、ああ、はい!」
ニッコリといつもの顔に戻った鬼舞辻先生は、ゆっくりと鬼組に向かって歩き出した。
その背中を眺めながら呆然と立ち尽くす。
…………お、恐るべし鬼舞辻先生。
しっかりと自分の生徒を手懐けている。清々しいほどの主従関係だ。
ていうか鬼組の生徒は5分前に着席して予習をしてるって言った?ほんとに?だからみんなあんなに優秀なの?私のクラスなんて5分前に教室にいて予習をしている生徒は煉獄くんだけだというのに。
「…………はあ、頑張ろう」
歴史の教科書を抱え直し、再びヒールを鳴らしながら滅組の教室へと向かうだった。