3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第2章 3年鬼組
ある休憩時間、は歴史の教科書を抱えて自分の教室へと向かっていた。
普段なら職員室と教室を往復しなくて済むよう、その日使う教科書一式を滅組に置いてるのだが、今日はちょうど歴史の教科書だけを忘れてしまったのだ。
カツカツと控えめなヒールの音を鳴らしながら廊下を歩く。ふと窓の外に目をやれば、どんよりと鉛色の空が広がっている。今日は朝からずっと雨だ。
「せーんせ」
肩をぽんと叩かれる。足を止めて振り返ると謝花さんがいた。彼女は3年鬼組に通う生徒だ。
「謝花さん、どうしたの?」
「ね、彼氏出来た?」
人の恋愛事情が気になる年頃なのだろう。彼女が自分に話しかける第一声は大体これだ。も教師といえどまだ二十代前半。ここはひとつ、大人の見栄を張って素敵な彼氏が出来たと言いたい所だけど……………
「ああ、わかった。まだね」
「……………」
こんな感じで見栄を張る前に見破られるので、少し悲しかったりもする。
「まあ先生ならその気になればすぐ出来るって。……あ、でもうちの先生はやめてよね」
彼女は担任の鬼舞辻先生に恋をしている。世間では教師と生徒の恋愛はご法度とされているが、彼女が鬼舞辻先生を想う気持ちは本物だ。彼女との会話でそれを以前からよく理解しているは、口には出さないがいつか彼女の思いが伝わってほしいと密かに願っていた。
「てかさ、先生もスカート短くしなよ。膝上じゃなくて太ももまで見えるくらい短いやつ」
「教師がそんな格好出来るわけないでしょ?」
「いやいや先生若いじゃん。もったいないって」
そう言われて思わず自分の履くスカートに目をやる。
太ももが見えるくらい短いやつ?謝花さんのように?
…………いやいやいや。
「だめだめ。そもそも短くしたところで誰がそんなの見て喜ぶと思う?」
「ほらあいつ、不死川とか絶対喜ぶでしょ。先生のこと大好きじゃん。それにうちのクラスの奴も喜ぶよ」
「………謝花さんのクラス?」
「そ。まじで毎日先生が可愛すぎてしんどいって童磨と狛治が話しててさぁ「あああああ!」