第15章 ◇14話◇心臓の音がする悲しい嘘
窓際に立って、空が赤くなるのを待っていた。
でも、まだなんとか空が青いうちに、リヴァイは帰ってきた。
今朝、私が引き留めたりしたから、急いでくれたのかもしれない。
それか、私がまたいなくなってはいないかと、不安だったのかもしれない。
そう考えると、罪悪感が増していく。
「モブリットはどうした。来なかったのか。」
兵団ジャケットを脱ぎながら入ってきたリヴァイは、執務室を見渡した。
「さっき、ハンジに新しい任務を言い渡されたの。」
「そうか。」
リヴァイはクローゼットからハンガーを取り出して、兵団ジャケットをかけた。
その様子を眺めながら、私はひどく緊張していた。
この世界のことを何も知らない私が無事に元の世界に戻るためには、ハンジの協力は必要不可欠だ。
だから、私もちゃんとハンジに協力をしないといけない。
ハンジは本当に、リヴァイのことを大切に思っているようだったからー。
傷つけないようにしないといけないー。
「そんなに難しい顔をしてどうした。クソでもしてぇのか。」
「…違う。」
「そうか。クソがしてぇときはちゃんと言えよ。」
「言わないよっ。」
「だろうな。」
リヴァイは意地悪く口元を歪めると、デスクの椅子を引いて腰を降ろした。
そして、引き出しの中から書類を取り出して確認し始める。
不愛想な印象だったから意外だったけれど、今のは冗談だったらしい。
「ねぇ、リヴァイ。」
「どうした?やっぱり、クソがー。」
「それは違う。」
「分かってる。待て。ちゃんと話を聞く。」
リヴァイは書類を引き出しの中に戻すと、立ち上がった。
そして、ソファに座って話をしようと提案してきた。
私が真剣な話をしようとしていることが分かったのだろう。
まずはリヴァイがソファに腰を降ろした。
その隣に私が座ると、リヴァイは今度こそ驚いた顔をした。
離れて座るか、向かい合うソファに座ると思っていたのだろう。
私だって、本当はそうしたかったー。