第14章 ◇13話◇パラレルワールド
「そういうことか…。」
ハンジは納得したように頷いていたけれど、モブリットは絶句して声も出ないようだった。
そして、私は、あまりにも勝手な理由でこのわけのわからない世界に飛ばされたことに絶望していた。
「リヴァイ兵長が心配だったんだろうな。らしいよ…。
助けられるのは自分しかいないのに、自分はもう生きてないからだからー。」
「知らないよっ、そんなのっ!だからって、どうして関係ない私が…っ!
とにかく、早くリヴァイにそれを伝えようっ!もう本物のは死んでるんだって!
ね?そしたら、私はもう帰れるでしょう!?」
私はハンジの両腕を掴んで必死に叫んだ。
この世界で暮らしていた私は、自分の代わりにリヴァイに伝言を伝えて欲しかったようだった。
そのために、私をこの世界に飛ばしたのなら、それをリヴァイに伝えれば、きっと帰れる。
もうこんなところにはいたくない。
リコさえ、私の知っているリコじゃないということだ。
ここには私の知り合いはひとりもいない。
ひとりぼっちだ。
それなのに、巨人がいる。人攫いがいる。
こんな怖いところ、あと1秒だって本当はいたくないー!
それなのにー。
「それじゃダメだよ。は君にリヴァイを助けてくれって頼んだんだろう?
リヴァイは今、が生きてたってことでなんとか自分を保ってるんだ。
そこで、本物のは死んでるなんて言われたら、2度もを失うことになる。」
私の正体が何なのかー、誰よりも真剣に考えてくれていたらしいハンジなら、帰るための協力もしてくれると勝手に思っていた。