第13章 ◇12話◇彼の腕の中≠安心できる場所
「。」
リヴァイは私の隣に腰を降ろすと、優しく頭を撫でた。
ひどく優しい声色で名前を呼ばれるから、思わず顔を上げた。
それが間違いだった。
強引に頭を引き寄せられ、ハッとしたときにはもう唇を押しつけられていた。
「やめて…!!」
舌まで入れようとしてきているのに気づいて、私は思いっきり胸板を突き飛ばす。
呆気なく離れたリヴァイと目が合う。
恋人だと信じ切っている女に抵抗されて驚いた様子でも、傷ついた様子でもなく、なんだかとても安心したような顔をしていた。
「それだけ出来りゃ、問題ねぇ。
お前は俺なんかよりよっぽど強ぇ。俺が保証してやるんだ、心配するな。」
リヴァイは、少し意地悪く口元を歪めると、さっきもそうしたみたいに髪をクシャリと撫でた。
彼が出て行ったあと、私は撫でられた髪にそっと触れた。
そこにまだ、リヴァイの温もりが残っている気がしたのだけれど、冷たい空気に触れて、もうなくなってしまっていた。