第2章 ◇1話◇鏡に映る知らない彼女
数か月前のストーカー騒ぎのとき、助けてくれたのはリコとイアン、ミタビだった。
仕事から帰ったら、家に知らない男がいて『俺は君の恋人だよ。』なんて恍惚の表情で繰り返された恐怖は今も消えていない。
あのとき、私の忘れ物を届けにリコ達が来てくれなかったら、どうなっていたか分からない。
だから、私はいろんな意味で彼らに頭が上がらないのだ。
「あんたって本当、残念美人よね。」
「性格も悪いわけではないんだがなぁ。俺達の友達を紹介しても
ことごとくフラれ続けるし…。」
「一体、何が悪いんだ?」
「頭だね。」
「あぁ、頭か。」
「確かに。」
たとえ、どんなに失礼なことを真面目な顔で言われたとしても、頭が上がらないのだー。