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【リヴァイ】彼と彼女の最終回【進撃の巨人】

第7章 ◇6話◇モノクロの世界で愛される彼女


私の家だと案内されたのは、ヨーロッパ風の古い建築物だった。
アパートメントになっているらしく、私の部屋は3階の一番奥にあった。
もちろん、私が住んでいたのはこんな場所ではない。
何の変哲もない普通のマンションの5階で、共通点は一番奥ということだけだ。
当然、私は鍵なんて持っていないので、リヴァイが兵舎の自分の部屋から合鍵を持ってきていた。
とりあえず、中に入ってみようというハンジに促されて、リヴァイが玄関の扉を開けた。
その瞬間に、ふわりと甘い香りが漂ってくる。
とても好きな香りだったけれど、私が好んでつけている香水とは違う。
慣れた様子で中に入って行くリヴァイの後から、ハンジとモブリット、リコが続く。
さっきの調査兵団兵舎もそうだったけれど、土足の風習のようで、誰も靴を脱がなかったから、私もそれに倣って靴のまま中に入った。
短い廊下にシャワールームとトイレがあって、その先にリビング、その奥にベッドルームがあるよくあるタイプの部屋だった。
女性の1人暮らしには充分で、私の記憶にある部屋はワンルームなので、むしろ贅沢なくらいだ。
久しぶりにこの部屋に来たというリヴァイは、少し埃っぽくなっている空気を睨んで、掃除がどうのと言い出している。
そんな彼から少し離れた場所に立って、私はリビングを見渡す。
カーテンも、テーブルも、棚に飾ってある小物も、壁にかけてある女物の洋服も、全部、私のものではない。
でも、あなたが選んだものでしょう、と真剣な顔で言われたら、そう信じてしまいそうになるくらいに、すべてが私の好みのものだった。
ただ違うのは、キッチンや食器棚に2人分の食器があったり、洗面所には歯ブラシが2本並んでいたり、明らかに恋人のいる女の部屋だということだ。

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