第5章 ◇4話◇頼みの親友
「ねぇ、リコっ!リコまでどうしちゃったの!?」
私はリコの腕を握って、泣きそうな顔で叫んだ。
ひどく、ショックを受けていた。
私に腕を掴まれたリコが、漸く私を見た。
そして、ハンジ達もそうしたように、顔色を青くしていく。
本当に、何だって言うのだ。
どうして、みんな、私の顔を見てそんな風にー。
「待ってよ、どういうこと。が私の腕を掴んでるんだけど…。
アンタ達にももしかして、見えてる?」
「話すと長くなるって言うか、わけわかんないから省略するけど
昨日の夜、突然現れたんだよ。それで、私達のことはすっかり忘れてるから
記憶喪失だと思ったんだけど…、リコのことはしっかり覚えてるみたいだね。」
「待って待って、本当に意味が分からない。突然現れたって何?
だって、私はこの目でちゃんと、…っ。」
リコは何かを言いかけたけれど、どこかを見てハッとしたように口を噤んだ。
彼女の視線の先は、私の視界にも映っていた。
たぶん、リコはリヴァイがいることに気づいたのだと思う。
でも、どうしてリコが誘拐犯の主犯と知り合いなのかー。
「ねぇ、リコ。この人達と知り合いなの?」
「…知り合いって言うか。の方が親しいでしょ。」
「まさか…!あんな目つきの悪い殺し屋とその仲間達に知り合いはいないよっ!!」
ありえないと叫ぶ私の背中の向こうで、息を呑む音が幾つも聞こえた。
それも気になったけれど、それよりも、リコが吹き出したのに私は驚かされた。
「久しぶりに聞いたよ。そうだったな。
アンタらは、目つきの悪い殺し屋とその仲間達だった。」
リコがハハハと可笑しそうに笑う。
それなのに、目尻には涙を浮かべているから、私はいよいよ意味が分からなかった。
振り返れば、リヴァイは愛おしそうに私を見てくるし、なぜかハンジ達は今にも泣きそうな顔で、それでもどこか嬉しそうにして涙を堪えているようだった。
「…もう本当にやだ。怖い。帰りたい。」
私の願いなんて、たぶん、ここにいる誰にも聞こえていなかったはずだ。