第5章 ◇4話◇頼みの親友
確かに、あの日、は死んだ。
遺体を確認したからというのもあるけれど、何よりもが捕食されているのを親友のリコがハッキリと見ているのだ。
だから、の死というのは、抗えない事実としてあるわけで、なかったことには出来ない。
でも、実際今ここにはいる。生きている。
但し、記憶がない。
いや、記憶がないのではなくて、には別の記憶があるようだった。
だから、ハンジ達とは話が噛み合わないー。
話していても、まるで別世界の人間と話しているみたいな奇妙な感覚になって気持ちが悪いー。
「リヴァイ、まずはリコのところに行こう。
親友の顔は、もしかしたら覚えてるかもしれないから。」
「あぁ、そうだな。」
一応は答えたリヴァイだったけれど、たぶん、今の彼は何も頭に入っていない。
覚えていないことはショックだったようだけれど、今はただ、が生きていることが嬉しくて仕方がない様子だ。
でもー。
(本当に、彼女はなのか…?)
リヴァイには絶対に言えないけれど、ハンジはそれすらも信じられていなかった。
それは、と名乗った彼女を信じられないというよりは、しっかりと調べて答えを出さないと気が済まない性格故だ。
今は彼女も混乱して怯えているようだけれど、少し落ち着いたら詳しく話を聞く必要がある。
それがたとえ、リヴァイの望んでいる結末にはならなくてもー。
地獄でも悲劇でも、大切なのは真実。
それが、調査兵団だからー。