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【リヴァイ】彼と彼女の最終回【進撃の巨人】

第4章 ◇3話◇混乱


とりあえず用意してくれた部屋のベッドの上で、私は膝を抱える。
もう本当に頭が痛い。
主犯の男を筆頭に、彼らは私のことを記憶喪失だと信じて疑わなかった。
でも、私はちゃんと覚えているし、自分のことは自分が一番分かっている。
むしろ、巨人がどうのとか、兵士がどうのとか言っている彼らの方が頭がおかしいのに、私の方が普通じゃないみたいな顔をされて、頭がおかしくなりそうだった。

「明日は朝も早ぇ。寝とけ。」

誰が何を言おうとも頑なに私から離れてくれなかった主犯の男、名前はリヴァイというらしい。
一応、これ以上近寄るなと私に言われた通り、壁際に置いたソファから動こうとしない。
でもそれは、今のところはそうなだけで、私が寝たのをいいことに何をするか分からない。
聞こえなかったフリをして無視していれば、リヴァイがそれ以上話しかけてくることはなかった。

『とりあえず、今夜はもう寝よう。私達も混乱してるからさ。
 明日になればもなにか思い出してくれるかもしれないしね。』

眼鏡の人、ハンジの言葉に、誘拐仲間はみんな、とりあえずは納得していた。
そして、明日に何かを期待しているようだったけれど、残念ながら、その期待に応えられる自信はない。
応えたいとも思わない。
だって、彼らが思い出してほしいというのは、巨人のいる世界で私が兵士をしていた、という妄想なのだ。
もう本当に、気持ちが悪い。
どういう妄想をしたら、そういうことになるのかー。
俺は恋人だ、と同じくらい気持ち悪い。

「はぁ…。ドラマ、どうなったのかな…。」

この期に及んで、ドラマの心配をしている私も相当、気持ち悪いと思う。
でも、そんなことでも考えていないと、彼らの妄想が真実だと信じ込まされそうで、すごく怖かったのだ。

「どうかしたのか?」

あぁ、もう本当に喋らないで。
どうかしたかって、どうかしたに決まっている。
誘拐犯達の頭と、この状況は、どうかしているー。
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