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【リヴァイ】彼と彼女の最終回【進撃の巨人】

第4章 ◇3話◇混乱


頭の中で響いていた聞き慣れた声が懇願するように続ける言葉は、次第に小さくなっていく。
そうすると、遠くから知らない誰かの話し声が煩わしいくらいに聞こえてきだした。
その声は、私のことを死んだと何度も繰り返していた。
なんてヒドイことを言うのだろう。
私はちゃんと生きている。
なんだか信じられないくらいに眠たくて、瞼が上がらないだけだ。
でも、そろそろ目を覚ましてもいいんだろうか。
懇願するような声が小さくなっていくにつれて、眠気もゆっくりと消えていっていた。
だから、私はゆっくりと瞼を押し上げた。

「…っ!」

古い天井が見えた瞬間、何かを考える暇も与えられないまま、私は抱き起こされていた。
痛いくらいに強く抱きしめる男は、思わず逃れようと私が動くと少しだけ腕を緩めた。
そしてー。

「会いたかった…っ。どこ、行ってやがったんだ…!」

耳元で叱るように言った後、男はいきなりキスをしてきた。
驚きすぎた私が固まってしまったのをいいことに、男は私の腰を抱き寄せた。
そのまま舌まで滑り込ませようとしてきたことで、ハッとした私は咄嗟に両手で胸板を押し返した。
変態か何かだと思ったから、それでも強引に襲われるかもしれないと不安だったのだけれど、意外とあっさり男は離れてくれた。
離れたことで、男の顔が良く見えた。
私をまっすぐに見つめる切れ長の瞳、真っすぐに通った鼻筋と薄い唇。とても綺麗な顔をした男の人だった。
イケメンでも変態というのはいるらしい。
少しだけ、私の好きな俳優に似ているような気もするけれど、爽やかな彼とは違って、切れ長の三白眼は冷たくて殺し屋みたいだ。

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