第1章 鬼に成りし者と
「えっ?」
無一郎の言葉に首を傾げる淳一。その意味を分かってる花怜は笑いを堪えるのに必死だった。
無一郎は所持していた竹の水筒を出し、器用に口枷を作っていく。
「花怜、付けてあげて」
無一郎に口枷を渡されて、淳一のところに駆け寄る。
「先生、付けますよ」
「あっ、うん……」
花怜は、淳一に口枷を付けてやった。その姿があまりに面白く、一人で爆笑してしまった。
「先生……ウケる……」
「むっ……!」
淳一は、笑っている花怜にご立腹の様子だった。その様子に、無一郎は呆れてため息を吐いた。
「二人共、僕ん家に行くよ」
「はーい」
花怜は無一郎の言葉に返事した後、淳一に手を差し伸べた。すると、彼は手を握った。
花怜は淳一の手を引いて、無一郎と共に歩き出した。