第6章 那田蜘蛛山にて
花怜は急いで彼の前に立ち、襲い掛かる糸を切った。
「戦う覚悟は決めた!先生は絶対に守る!生きて未来に帰る!」
累はそんな二人の絆に感動し、攻撃を止めた。
「あの人にお願いして、君も鬼になったらどう?そして、僕と友達にならない?」
予想していた反応と少し変わっていて花怜は驚いた。家族ではなく友達から……それでも、鬼は許さない。いくら推していても滅さなければならない。
「そんなお願いは無理だよ!私は普通の学生に戻る!」
「……じゃあ、殺すか」
たくさんの糸が花怜に向かって放たれた。
夢の呼吸 拾ノ型 明晰夢
花怜は糸は切り抜けて、累の首元へ向かう。
炭治郎のように刀が折れないのは、蝶の如く舞い、駆け抜けているからだ。
「これが最高硬度だと思った?」
「知ってる!赤いのは切れないんでしょ!」
累の言葉に、花怜はツッコミを入れた。
一本の赤いの糸が、花怜の脇腹を貫いた。
「花怜!」
彼女は息を荒くしながら、その場で倒れた。淳一は急いで彼女のところに駆け寄った。
「花怜!花怜!……よくもこんなことを。ふざけるなぁぁぁああ!」
なんと、淳一は花怜の刀を握った。
「鬼が日輪刀を扱える訳ないよ」
累は呆れたようにそう言って嘆息した。