第6章 那田蜘蛛山にて
淳一は一度目を閉じて後、大きく見開くと、瞳の色が黄緑ではなく、赤色になっていた。
累の手に繋がっている糸の色は全て青だった。その青い糸は、彼が言っていた家族に繋がっている。
青の糸は、恐怖を表す。恐怖で家族を縛り付けているのだ。それは、家族の絆とは言わない。
「おい!鬼の少年!」
累は蜘蛛の糸であやとりをしていた。淳一の呼び掛けに、累は冷たい眼差しを向けた。
「何、鬼の鬼殺隊が僕に何の用なの?」
累はうんざりとした声で冷めたように言った。
「俺の目には見えるんだよ!お前の家族は偽物だって!」
「ちょっと、先生!?」
花怜は彼の言葉に焦りを覚えた。炭治郎が累に拍車をかけた言葉と同じだったからだ。しかも、原作よりも展開が早い。自分が戦うには無理があるのだ。
「今、なんて言った……?」
累が恐ろしい顔で言ってきた。展開が早過ぎる。
「お前の家族との絆は、偽物だ!」
それを淳一が言った瞬間、花怜の中で何かが崩れ落ちた。
まだ戦う準備も出来てないのに……!
「ふざけないでよ。鬼と人間がどうして一緒に居るんだ?」
そして、累は淳一に向かって糸を放った。