第6章 那田蜘蛛山にて
「お母さんがみんなを殺すから」
鬼の少年、累の言葉に、淳一は渋い顔をした。そんな彼の存在に気付いたのか、累も顔を歪めた。
「何で、鬼が鬼殺隊にいるの?まぁいいか」
累は糸の上を歩いて去って行く。
「俺と花怜はあの少年を追おう」
「えっ、はい……」
これからの展開を知ってる花怜は出来れば累と戦いたくなかった。仕方なく淳一と一緒に走って行った。
「僕達家族の絆は誰にも切れやしない」
タイミングを伺っていた二人は、累の言葉に息を飲む。
淳一は何か闇深いものが見えた気がして、ある事を思い出した。
それは花怜が眠っている時だった。淳一は眠らなくても良いため、一人で暇を潰していた。
そんな時に、任務から帰ってきた無一郎が淳一に言った。
『先生も鬼なんだから、たくさんの能力を使えた方が良いと思う。それで、花怜を常に守っていられるようにさ』
無一郎の提案に色んなことを試した。子供頃、思い描いていたことを必死に思い出して。
「花怜、騙してごめんな」
累を追いかけながら、淳一が口角を上げて言った。花怜はそれを理解出来ずに首を傾げた。
「俺、血鬼術使えるのがあるんだよ!」
―――『開眼』