第5章 藤の屋敷
「うーん、血鬼術の名前は……血癒とかどう?血で癒すと書いて」
花怜の言葉に、淳一は目を丸くした。
「さすがだな。血癒って、ネーミングセンスが良いなぁ」
「そう?この血鬼術、先生らしく優しい力だなぁと思うよ」
「そうか?お前にそう言われると嬉しいな」
淳一はそう言って、笑みを浮かべた。その笑みに胸が高鳴ってしまったのは言うまでもない。
「花怜!」
部屋の外から炭治郎の声が聞こえた。花怜は急いで服を整え、障子戸を開けた。かまぼこ隊が揃っていた。
「花怜、先生。夕飯のお時間だそうです」
「そっか……」
花怜は振り向いて、後ろに居る淳一を見た。
「先生は待ってる?」
「いや、行くよ。寂しいじゃん。ね?」
淳一は笑顔でそう言い、花怜の手を握った。
「本当に仲イイの羨ましい!俺も恋したい!」
善逸の嘆きに、花怜と淳一は戸惑って顔を見合わせた。
二人は、お互いに惹かれ合っていることなんて知らないのだ。
「もう、善逸行くぞ。では、行きましょうか」
五人は料理が並んでいるであろう食堂に向かって歩き出した。