第5章 藤の屋敷
カラスが止まった場所は、藤の家紋がある屋敷だった。鬼殺隊のお泊まりスペースで、藤の家と呼ばれているところだ。
「あのさ、鬼殺隊専用だよね?俺が入っても大丈夫なのかな……」
淳一はそう言って俯いた。その場に居た者は思い出した。彼は鬼であることを。
「大丈夫だ、先生。俺も禰豆子を連れて行くから。それに先生は禰豆子以上に人間だ。きっと大丈夫だろう」
炭治郎の言葉に、淳一はホッと胸を撫で下ろした。
「もう、俺疲れちゃったよー!早く入ろ!」
善逸が先生の腕にくっついて叫んでいた。そんな時だった。おばあさんが中から出てきた。
「お出迎えが遅くなって申し訳ございません。では、中にお入り下さいませ」
おばあさんについて行き、寝室を案内された。
「松田様は寝室を別にした方がよろしいでしょうか?」
「うーん、先生と同じ部屋で三人と別々に!」
「かしこまりました。お二人のお部屋はここになります」
かまぼこ隊よりも少し遠い部屋を案内された。これなら、彼らの寝相の悪さに妨害を喰らわなくて済む。
「花怜」
二人して布団の上に腰を下ろした。隣に座っている淳一が名前を呼んだ。
「俺さ、血を飲んでみたいって思っちゃうんだ。もちろん、それはいけないことだと思って我慢している」