第4章 舞い踊る屋敷
すると、響凱の攻撃が止まった。
「なぜ、人間の文際で、鬼を連れている?」
「大事な人だからだよ」
花怜はそう答え、刀を構えた。
今のタイミングなら行ける。
夢の呼吸、肆ノ型、夢幻泡影
そして、彼女は響凱の頸を斬った。
「私も小説を書いてるから、誰にも評価されない気持ちは分かる。でも、人を殺すことは許さない」
花怜は注射器を刺し、猫に渡した。急いで淳一のところに駆け寄った。
彼の体は結構回復していた。鬼の自然治癒力はすごい。
「先生、立てますか?」
花怜が手を差し出すと、淳一はその手を取って立ち上がった。
「どうしよう、口枷が……」
「先生なら大丈夫ですよ。早く戻りましょう」
「うん……」
二人は手を繋ぎ、屋敷の出口へ向かった。
屋敷を出ると、猪頭を被った男――伊之助が炭治郎に突進していた。
淳一は急いで走り出し、炭治郎に飛び掛かる伊之助を蹴っ飛ばした。
「イッテェ……テメェ、鬼のクセに生意気だなぁ。俺と戦え!」
「戦うもんか。馬鹿たれ」
低い姿勢で飛び掛かる伊之助を、淳一は上から踏み付けた。
「鬼は倒さなきゃなんねぇもんだ。倒す!猪突猛進!!」
「やめろって言ってんだろ!俺は人を殺す気なんてねぇんだよ!」
二人の喧嘩はどんどん激しくなり、花怜はため息を吐いた。